屋根のカバー工法(重ね葺き)の費用の相場は?使える補助金なども解説
築年数が経つにつれ、屋根の劣化や雨漏りが気になり始めた方も多いのではないでしょうか。
葺き替えは費用が高いと聞き、「まずはカバー工法(重ね葺き)で済むなら…」と考える一方で、本当に適切な工法を選べているのかと不安も残るものです。
この記事では、屋根のカバー工法について、費用相場・補助金制度・葺き替えとの違いをわかりやすくまとめています。
ご自宅に合った工事を選ぶための参考として、ぜひ最後までご覧ください。
屋根のカバー工法とは

屋根のカバー工法とは、既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねる工事方法で別名「重ね葺き」とも呼ばれます。
メリットとしては、断熱効果により通年快適な室温で過ごせて光熱費も節約できる上に、遮音性も高いことが挙げられます。
また、工期が1週間以内で済むことと、解体不要なので廃材も少なく、比較的費用を抑えて工事できることもポイントです。
一方デメリットは、既存の屋根材の上に施工する工法であるため、屋根が重くなり、耐震性に影響する可能性があります。
また既存の屋根材の上に施工していくので、下地の補修がおろそかになりがちです。
さらに、カバー工法は火災保険を適用できません。
(火災保険は損傷した屋根をもとに戻す工事のみ該当するため)
そのため、必ずしもカバー工法が1番安く済むとは言い切れず、すべてやり直す完全交換の葺き替えのほうが費用が安くなる場合もあります。
屋根の種類別!カバー工法の費用

カバー工法の費用は、屋根の広さや屋根の素材によって変動もありますが、おおよそ相場は30坪で80〜200万円です。
ここでは、カバー工法がよく使われる屋根材、ガルバリウム鋼板とアスファルトシングル、スレート屋根の費用についてご紹介します。
- ガルバリウム鋼板:合金でメッキされた金属素材
- アスファルトシングル:アスファルトメインで作られた柔軟性のある素材
- スレート屋根:石やセメントを主原料にした屋根材を薄い板状に成形した素材
ガルバリウム鋼板のカバー工法の費用
30坪住宅でガルバリウム鋼板を使用していたと仮定した場合、カバー工法費用は、約80〜150万円になります。
ガルバリウム鋼板は軽量で、耐久性・耐食性に優れており耐用年数は25〜40年と長めですので、重ね葺きをすればその後のメンテナンスは頻度も少なく済みます。
しかし、ガルバリウム鋼板自体が比較的高額なので、カバー工法で200万円近くかかるケースも少なくありません。
瓦屋根からガルバリウム鋼板に葺き替えた場合の相場は、約80〜200万円となります。
〈30坪一戸建て ガルバリウム鋼板〉
- カバー工法:約80〜150万円
- 葺き替え:約80〜200万円以上
アスファルトシングルのカバー工法の費用
30坪住宅で、アスファルトシングル屋根を使用していたと仮定した場合、カバー工法費用は約70〜140万円です。
ガルバリウム鋼板に比べると材料費が安いため、少し費用感は下がりますが、葺き替え工事の場合は70〜200万円と少々値段に変動が出ます。
アスファルトシングルの屋根の耐用年数は20〜30年程度です。
葺き替え工事をすることで屋根の寿命が40年以上延びることもあります。
〈30坪一戸建て アスファルトシングル〉
- カバー工法:約70〜140万円
- 葺き替え:約70〜200万円
スレート屋根のカバー工法の費用
30坪住宅で、スレート屋根を使用していたと仮定した場合、カバー工法費用は約80〜210万円です。
スレート屋根は屋根材自体は安価ですが、割れやすく脆いため、同材を重ね葺きするカバー工法はあまり行われません。
上からガルバリウム鋼板を重ねるか、もしくはすべて下地からやり直して葺き替えにするケースが多いため、費用は高めになります。
〈30坪一戸建て スレート屋根〉
- ガルバリウム鋼板を重ね葺きするカバー工法:約100~180万円
- 葺き替え:約120~210万円
カバー工法の費用が変動する理由
カバー工法の費用が変動する理由として、まず屋根材の種類やグレードの違いが関係しています。
カバー工法で用いられる主な屋根材にはガルバリウム鋼板、スレート、アスファルトシングルなどがあり、材料費だけで見るとスレートが最も手頃で、ガルバリウム鋼板はやや高めです。
ただし、既存がスレート屋根の場合でも、同じスレートを重ねる施工は一般的ではありません。
スレートは経年劣化で割れやすく、下地の状態も考慮が必要なため、カバー工法では軽量で耐久性の高いガルバリウム鋼板を選ぶケースが多いためです。
その結果、スレート屋根のカバー工法はガルバリウム鋼板の材料費が影響し、高くなりやすい傾向があります。
さらに、屋根の面積や形状、勾配によっても総額は変わります。
複雑な形状や急勾配の屋根は作業が増えるため、コストに反映されやすいポイントです。
さらに季節や地域によっても相場が動き、雪の多いエリアでは安全対策や工程数が増え、費用が上がるケースも少なくありません。
加えて、屋根工事には足場の設置が必須で、一般的に20〜30万円ほどかかるとされています。雨樋の交換や下地補修といった付帯工事、諸経費も合わせて考える必要があり、これらを含めて最終的な費用が決まります。
カバー工法と葺き替えとの違いや注意点は?

カバー工法(重ね葺き)と完全交換(葺き替え)の違いについて、詳しく解説します。
カバー工法は既存の屋根はそのままで新しい屋根材を重ねていく工事で、下地や屋根の劣化が軽い場合に対応します。
一方葺き替えは完全交換と言われるように、今の屋根材を撤去して下地から補修して新しい屋根材を施工する工法です。
下地のひどい老化や広範囲の雨漏りでカバー工法では間に合わない場合に、葺き替えを行います。
以下の表に、カバー工法と葺き替えの違いについて分かりやすくまとめました。
| カバー工法(重ね葺き) | 完全交換(葺き替え) | |
|---|---|---|
| 施工方法 | 既存の屋根材の上に新規屋根材を重ねる | 既存の屋根材を撤去し、下地補修して新規屋根材を施工する |
| 向いている家 | ・下地劣化が軽度 ・築年数が浅い(築25年まで) |
・雨漏りや下地の劣化が深刻 ・築25から30年以上 ・瓦など現状の屋根が重い |
| 費用面 | ・ガルバリウム鋼板屋根で約100〜200万円 ・アスファルトシングルで約80〜150万円 |
約120〜200万円 瓦⇒ガルバリウム鋼板への葺き替え 80〜200万円 |
カバー工法のほうが葺き替えより安いと一般的に言われるのは、解体をしないため廃材も出ず工期も短いからです。
しかし、カバー工法は火災保険が適応しないため、見積もりをしたところ思ったほど安くならない可能性もあります。
カバー工法か葺き替えか、どちらがご自宅の屋根の修理に適しているかは業者に見てもらうのがベストです。
カバー工法が使えないケース
屋根のカバー工法は、どんな屋根にも対応する修理方法ではありません。
従来の屋根の上に重ね葺きしていく形になるため、以下のような場合はカバー工法での修理ができない可能性もあるので注意しましょう。
- 下地(野地板、防水シート)の劣化がひどく、腐食している
- 雨漏りが広範囲に見られる
- 屋根材が瓦屋根で重く、上に重ねるのは危険と判断した場合
- 築年数が古く、構造的に耐震性が危ぶまれる
上記のような場合は、カバー工法ではなく葺き替え工事を行う必要が出てきます。
まずは信頼のおける業者に、下地の劣化具合や雨漏りのレベルなどをチェックしてもらい、カバー工法が使えるかどうか判断してもらうことが大切です。
屋根のカバー工法に利用できる補助金は?

2025年時点での、屋根のカバー工法に使える主な補助金制度を紹介します。
それぞれ対象となる家屋や目的が異なるので、細部の確認が必要です。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
屋根の断熱改修や耐久性向上、劣化対策を目的とした補助金制度です。
すべての戸建て住宅や共同住宅が対象で、工事費の1/3程度、上限100万円前後となります。
下地の防水工事をはじめ、カバー工法や葺き替え、重い瓦を軽い屋根材に葺き替えする際などに使用可能です。
子育てエコホーム支援事業
「開口部(窓・ドア)の断熱改修」または「外壁、屋根・天井、床の断熱改修」の工事が必須です。
補助金対象世帯は以下になります。
- 子育て世帯: 2005年4月2日以降に出生した子を有する世帯
- 若者夫婦世帯: 夫婦いずれかが1983年4月2日以降に生まれた世帯。
- その他の世帯: 上記に該当しない世帯の場合も対象になり得えるが、補助金の額が異なる
屋根工事においては、断熱材を屋根裏や天井に施工しなければなりません。
カバー工法や葺き替えの際に断熱材を使用する際に、補助金を受けとることができます。
自治体の制度
自治体の制度としては、カバー工法や葺き替え単体の補助金はありませんが、断熱材や耐震工事と組み合わせることで支給対象になります。
例えば横浜市では、耐震改修補助として葺き替え工事の際に上限100万円程度の助成金補助があります。
品川区は省エネリフォーム補助で、工事費用の10%、20万円を上限とする支給が可能です。
国のほかの補助金制度と併用可能な場合もあります。
各市区町村で独自の屋根改修助成金の内容が知りたい際には、お近くのリフォーム業者に相談することもおすすめです。
屋根工事の業者の選び方

屋根のカバー工事を依頼する際は、施工実績が豊富で、過去の施工例も実際に確認できる業者を選ぶと安心です。
ここでは、どのように屋根のリフォーム業者を探すべきか、その方法についてご紹介します!
施工実績と保証期間の確認
依頼する業者は、施工実績が豊富で、過去の施工例も実際に確認できる業者を選ぶと安心です。
経験の蓄積は仕上がりの質に直結します。
また、カバー工法の場合、保証期間は一般的に5年〜10年が目安とされており、この点をしっかり説明できてアフターフォローなども充実している業者であれば信頼度も高まります。
複数の業者から相見積もりを取る
費用を抑え、適正な工事内容で契約するためには、二〜三社程度から相見積もりを取り、比較検討することが欠かせません。
費用総額だけでなく、「なぜこの見積もりなのか」「後に追加で費用が掛かる可能性がないか」なども含めて、詳細かつ納得のいく提案をする業者を選ぶようにしましょう。
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屋根の材質や劣化の状況などはお家によってそれぞれです。
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【屋根のカバー工法(重ね葺き)】費用の相場や補助金は?葺き替えとの違いを紹介|まとめ
今回は、屋根のカバー工法(重ね葺き)について、葺き替えとの違いや費用相場について紹介しました。
カバー工法は築年数が25年までで下地劣化が軽度でなければ使えません。
築年数が30年以上になり雨漏りもしているようであれば、葺き替え工事でなければ修復ができないので、詳しく業者に判断してもらうことが必要です。
早い段階で修理すれば、費用も安く工期も短くて済みます。
ご自宅の屋根にとって最適な工事方法と適正な費用を知るためには、必ず複数の業者に診断と見積もりを依頼しましょう。
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